財布やスマートフォンの紛失も大変ですが、オートロックキーを失くしてしまった時の焦燥感と、その後に待ち受ける手続きの煩雑さは、経験した者でなければ分からないほどの、大きなストレスとなります。それは、単に自分の部屋の鍵を失くしただけでなく、建物全体のセキュリティに関わる、重大な問題だからです。もし、あなたがオートロックキーを紛失してしまったら、パニックにならず、順序立てて正しい行動を取ることが、被害を最小限に食い止めるために何よりも重要です。まず、最初にやるべきことは、カバンの中や、その日の行動ルートを、もう一度、徹底的に探すことです。意外な場所から出てくることも少なくありません。しかし、ある程度探しても見つからない場合は、次のステップに進む必要があります。それは、「速やかに管理会社または大家さんに連絡する」ことです。これは、たとえ深夜や休日であっても、緊急連絡先に必ず一報を入れるべきです。なぜなら、あなたが失くした鍵一本が、マンション全体のセキュリティを脅かす「抜け穴」になってしまう可能性があるからです。連絡を受けた管理会社は、まず、あなたの状況を確認し、今後の手続きについて指示をしてくれます。そして、ここからが重要なのですが、紛失したキーを、システム上から「無効化」する手続きが必要となります。特に、ICカードキーやタグキーの場合、紛失したキーのID情報をシステムから削除することで、たとえ第三者がそのキーを拾っても、エントランスのオートロックを開けることができなくなります。この無効化作業と、新しいキーの再発行には、当然ながら費用がかかります。キーの種類にもよりますが、数千円から、場合によっては数万円の費用と、新しいキーが届くまでに数週間の時間が必要になることも覚悟しなければなりません。紛失は、痛い出費と手間を伴います。しかし、その手続きを惜しんで放置することは、自分だけでなく、同じマンションに住む全ての住民を危険にさらす、無責任な行為に他なりません。正直に、そして迅速に報告し、正しい手順を踏むこと。それが、共同生活における最低限のルールであり、責任なのです。