無事に玄関の鍵交換が完了し、新しい鍵で安心を手に入れた。しかし、その手元には、これまで長年お世話になった「古いキーシリンダー」が残されています。さて、この金属の塊を、皆さんはどう処分しますか。「燃えないゴミの日に出せばいいや」と、安易に考えてはいけません。キーシリンダーという、極めてプライベートな情報と結びついた部品の処分には、セキュリティ上の観点から、細心の注意が必要なのです。まず、絶対にやってはいけないのが、鍵とシリンダーをセットのまま、ゴミ袋に入れて捨てることです。もし、悪意のある第三者が、そのゴミ袋から鍵とシリンダーの両方を手に入れてしまったらどうなるでしょうか。シリンダーの側面には、メーカー名や型番が刻印されていることが多く、それを手がかりに、あなたの家の錠前の種類が特定されてしまいます。そして、手に入れた鍵の形状から、ピッキングなどの手口に繋がるヒントを与えてしまう可能性もゼロではありません。考えすぎかもしれませんが、防犯とは、あらゆる可能性を想定し、そのリスクの芽を一つずつ潰していく作業なのです。では、どのように処分するのが最も安全なのでしょうか。推奨される方法は、まず「鍵とシリンダーを、別々に処分する」ことです。そして、可能であれば、それぞれを異なる日のゴミ収集に出すのが理想的です。これにより、万が一どちらかが拾われても、もう片方がなければ、情報としての価値は大きく低下します。さらに、シリンダー本体は、ハンマーなどで数回叩いて、ある程度変形させてから捨てるのが、より安全です。鍵穴の部分や、外観を損傷させることで、型番の特定などを困難にします。また、古い鍵の方も、ペンチなどで少し曲げるなどして、そのままでは使えない状態にしておくと良いでしょう。自治体によっては、キーシリンダーのような金属製品を「小型金属類」として、別途回収している場合があります。お住まいの地域のゴミ分別のルールを一度確認してみてください。たかが古い鍵、と侮ることなく、その最後の瞬間にまでセキュリティ意識を持つこと。その徹底した姿勢こそが、真の防犯対策の第一歩と言えるのです。
交換した古いキーシリンダー、どう処分する?