「家族のために、もう一本」「万が一の時のために、スペアを」。そんな理由で、オートロックキーの合鍵が欲しいと考えることがあるかもしれません。そして、インターネットで検索すると、「オートロックキー複製します」「即日作成可能」といった、魅力的な広告が目に飛び込んでくるでしょう。しかし、正規のルート(管理会社への依頼)を経ずに、安易に街の業者で合鍵を作ってしまう行為は、あなたが思う以上に、深刻なリスクと危険な落とし穴に満ちています。まず、理解しなければならないのは、オートロックキーの複製が、マンションの管理規約で明確に「禁止」されているケースがほとんどである、ということです。管理会社は、発行した鍵の総本数と所有者を厳密に管理することで、建物全体のセキュリティを維持しています。無断で複製された鍵は、管理台帳に存在しない「幽霊キー」となり、このセキュリティシステムに重大な穴を開けることになります。もし、無断複製が発覚した場合、規約違反として、高額な違約金を請求されたり、最悪の場合は、信頼関係の喪失を理由に、契約解除を求められたりする可能性すらあります。次に、技術的な問題です。昔ながらのシリンダー式のオートロックキーであれば、物理的な形状をコピーすることで、合鍵を作ることは可能です。しかし、現在主流のICチップを内蔵した非接触キーの場合、話は全く異なります。これらのキーは、内部のICチップに記録された、暗号化された固有のID情報を読み取って認証しています。単純な形状のコピーでは意味がなく、このID情報を不正にコピー(クローニング)する必要があります。確かに、一部の業者には、特定の古い規格のICチップを複製する技術があります。しかし、近年のセキュリティレベルが高いICチップの複製は、事実上不可能です。また、仮に複製できたとしても、マンションのシステムが定期的にアップデートされた際に、その複製キーだけが突然使えなくなる、という事態も十分に考えられます。目先の安さや手軽さに惹かれ、無断で合鍵を作る行為は、まさに「安物買いの銭失い」。セキュリティ、契約、技術、あらゆる面で、その代償はあまりにも大きいのです。
オートロックキーの合鍵は作れる?その危険な落とし穴