あれは冬の凍てつくような深夜一時過ぎのことでした。残業を終えて疲れ果て、一刻も早くベッドに潜り込みたい一心で自宅のマンションに辿り着いたのですが、玄関の前でカバンを探っても鍵が見当たりません。オフィスのデスクに忘れてきたのか、あるいは帰りの電車で落としたのか。無機質なドアを前に立ち尽くす私の心は、冷たい夜風とともに一気に絶望感で満たされました。スマートフォンも電池が残りわずかで、誰かに助けを求める時間も限られているという、まさに極限の緊急事態でした。まずはマンションの管理会社に電話をしてみましたが、当然ながら時間外の音声ガイダンスが流れるだけです。予備の鍵を実家に預けていたものの、そこまでは電車で二時間以上かかります。タクシーで向かうことも考えましたが、明日の朝も早いことを考えると、どうしても今夜中にこのドアを開けるしかありませんでした。私は震える指で「鍵開け。緊急。夜間」と検索し、最初に出てきた広告の業者に電話をかけました。しかし、電話口での対応が威圧的で、料金も非常に曖昧だったため、不安を感じて一旦電話を切りました。焦っている時こそ、怪しい直感に従ってはいけないと自分に言い聞かせたのです。次に電話をした業者は、非常に丁寧な物腰で、私の住んでいる地域や鍵の種類を詳しく聞いてくれました。そして、基本料金と深夜割増を合わせた概算の金額を伝えてくれた上で、三十分以内に到着できると約束してくれました。その誠実な対応に、ようやく少しだけ心の平穏を取り戻すことができました。コンビニで温かい飲み物を買って待ち合わせ場所で待っていると、約束通り作業車が到着しました。作業員の方は私の免許証を確認し、素早く鍵穴の診断を行いました。私の家の鍵は防犯性の高い複雑なタイプでしたが、彼は特殊な器具を使い、わずか十分ほどで「ガチャン」という心地よい音とともに扉を開けてくれました。ようやく暖かい家の中に入れた瞬間、安堵感で膝の力が抜けそうになりました。その夜の不注意によって数万円の出費を強いられることになりましたが、プロの技術によって迅速に救われたことは、何物にも代えがたい経験となりました。この一件以来、私はスマートフォンのケースの中に予備の鍵を忍ばせ、スマートロックを導入して物理的な鍵がなくても解錠できる体制を整えました。鍵が開かないというトラブルは、ある日突然、誰の身にも起こり得ます。
真夜中に鍵が開かないトラブルに遭遇した私の体験記