トイレのドアが開かなくなるという、あの悪夢のようなトラブル。一度経験すれば、二度と味わいたくないと、誰もが思うはずです。実は、こうしたトラブルの多くは、ある日突然起こるのではなく、日々の小さな不具合やメンテナンス不足の積み重ねが、ついに限界に達した結果なのです。つまり、普段から少しだけ気にかけてあげることで、その発生リスクを大幅に減らすことが可能なのです。高額な修理費用や、閉じ込められるという恐怖を避けるための、今日からできる簡単な予防メンテナンス術をご紹介します。まず、最も基本的で効果的なのが、「ネジの増し締め」です。ドアノブや、ドア側面のフロントプレートを固定しているネジは、毎日の開け閉めの振動で、知らず知らずのうちに少しずつ緩んできます。この緩みが、ドアノブのガタつきや、錠前本体の位置のズレを引き起こし、鍵がかかりにくくなったり、ラッチの動きが悪くなったりする原因となります。月に一度でも良いので、プラスドライバーで、これらのネジが緩んでいないかを確認し、軽く締め直してあげましょう。ただし、締めすぎると動きが固くなることもあるので、注意が必要です。次に、「錠前内部の潤滑」です。鍵の動きが少し渋いな、と感じたら、それは内部の潤滑が切れているサインです。錠前のラッチボルトの隙間や、鍵の可動部に、「鍵穴専用の潤滑剤」または「シリコンスプレー」を少量吹き付けてください。この時、CRC-556などの油性スプレーは、ホコリを吸着して固めてしまい、逆効果になるため、絶対に使用してはいけません。潤滑剤を差した後は、何度かドアノbを動かして、内部に馴染ませます。そして、意外と見落としがちなのが、「ドア枠側の受け金具(ストライク)の清掃」です。この金具の穴の中に、ホコリや髪の毛が溜まると、ラッチボルトが奥までしっかりと収まらなくなり、施錠不良の原因となります。定期的に、つまようじなどで中のゴミを掻き出してあげましょう。これらの、ほんの数分で終わる簡単なメンテナンスが、トイレの鍵を常に良好な状態に保ち、突然のトラブルというストレスから、あなたと家族を守ってくれる、何よりものお守りとなるのです。