「U字ロックは意味ない」という言葉は、半分は真実ですが、残り半分は、その道具のポテンシャルを最大限に引き出せていない、ユーザー側の誤解に基づいています。どんなに高性能な武器も、使い方が間違っていれば、ただの鉄の塊です。U字ロックの真価を発揮させ、「意味なくない」存在へと昇華させるための、正しい使い方をマスターしましょう。まず、最も重要な原則が「地球ロック」です。これは、自転車やバイクを、地面に固定された動かせない構造物(ガードレール、標識のポール、電柱など)と一緒に施錠することです。これを怠れば、車体をそのまま持ち去られてしまうため、U字ロックをかけている意味が全くありません。そして、その地球ロック先は、できるだけ太く、頑丈で、破壊が困難なものを選んでください。次に、ロックする「場所」です。自転車のフレームの中でも、最も切断されにくい、後輪のタイヤと、シートチューブ、あるいはチェーンステーの三角部分を、一緒に通すのが理想的です。いわゆる「後輪ロック」と呼ばれるこの方法は、後輪を外す手間をかけさせ、フレームの最も頑丈な部分をロックするため、非常に効果的です。前輪だけをロックするのは、最も避けるべき愚かな行為です。そして、U字ロックを選ぶ際は、「サイズ」にこだわってください。ロックした際に、フレームと地球ロック先との間に、できるだけ隙間ができない、ジャストサイズのものを使いましょう。この隙間が大きいと、ジャッキなどの工具を差し込まれ、破壊されるリスクが高まります。さらに、U字ロックを「地面になるべく近づけない」ことも重要です。地面に置かれた状態のU字ロックは、ハンマーなどで叩き割る際の、格好の「土台」となってしまいます。できるだけ高い位置で、宙に浮いた状態でロックすることで、こうした破壊行為を困難にします。そして、究極の対策が「ダブルロック」です。U字ロックに加えて、種類の異なる鍵、例えば、太いチェーンロックや、アラーム付きのディスクロックなどを併用します。複数の、しかも種類の違う鍵を破壊するには、時間も、工具も、そしてリスクも増大するため、多くの窃盗犯は、その時点で犯行を諦めるのです。U字ロックは、決して意味なくありません。これらの正しい使い方を実践することで、それは、あなたの愛車を守る、最強の盾の一つであり続けるのです。