荷物を積もうとした瞬間、あるいは、中に入れたものを取り出そうとした時、いつもはスムーズに開くはずの車のトランクが、うんともすんとも言わない。この「トランクが開かない」というトラブルは、車種や年式を問わず、誰の身にも起こりうるものです。焦って何度もオープナーを操作したり、力任せに引っ張ったりする前に、まずは冷静になって、いくつかの基本的なポイントを確認することから始めましょう。多くの場合、その原因は、故障ではなく、単純な操作ミスや、車の安全機能によるものなのです。最初に確認すべきは、最も基本的な「ドアロックの状態」です。近年の車の多くは、防犯上の理由から、全てのドアがロックされている状態では、たとえキーが近くにあっても、トランクだけを開けることができないように設定されています。まずは、運転席のドアロックを解除(アンロック)してみてください。たったこれだけの操作で、今まで開かなかったトランクが、あっさりと開くことは、驚くほどよくあります。次に、スマートキー搭載車でよくあるのが、「キーの検知範囲」の問題です。スマートキーは、車が発する微弱な電波をキーが受信することで機能しますが、その有効範囲は、意外とシビアです。キーをカバンの奥深くに入れていたり、身体の反対側のポケットに入れていたりすると、トランク後部のアンテナが、キーの存在をうまく検知できず、ロックが解除されないことがあります。一度、キーを手に持って、トランクのエンブレム付近に近づけてから、再度オープナーを操作してみてください。また、車種によっては、グローブボックス内などに「トランクリッドオープナーキャンセルスイッチ」というものが装備されている場合があります。これは、例えば駐車場などで、第三者に勝手にトランクを開けられないようにするための機能です。何かの拍子に、このスイッチが「OFF」になっていないかを確認してみましょう。このように、トランクが開かない原因は、必ずしも故障とは限りません。まずは、これらの基本的なチェック項目を一つずつ潰していくこと。その冷静な初動こそが、不要なパニックと、無駄な修理費用を防ぐための、最も重要な鍵となるのです。
車のトランクが開かない!その時、まず確認すべきこと